淡路島の食材を活用して“調理人甲子園”を通じた食産業の構築
(南あわじ市)

郷土史探訪ツーリズム研究所(代表)参加応援プロジェクト
『 御食國(みけつくに)淡路島ならではの食材を活用した“調理人ドラフト(板前・シェフ・コックなど調理人甲子園)”を通じた南あわじスタイル食産業の構築』
兵庫県、南あわじ市(西淡まちづくり協議会)
(兵庫県「まちのにぎわいづくり一括助成」採択事業)

 南あわじ市西淡地区は、400年の歴史を持つ瓦産業や瀬戸内海の海の幸を活かす民宿・旅館を中心とした観光業を経済活動の中心としています。
 阪神・淡路大震災からの復興、経済不況による低迷の打破をめざして、まちのにぎわいづくりに取り組み、この度(2010年度)南あわじの多種多様で豊富な食材を、ホテル・レストランなど外食関係への販路を開拓するとともに、外食産業のニーズに応えた加工品の製造や流通システムの開発など、時代に相応しい「食」産業の創出を目的に、本事業を申請し採択されました。
 南あわじ市ならではの食材である沼島の三年とらふぐ、ひらめをはじめ各季節の旬の海産物、たまねぎ、淡路牛など農林水産物が「ブランド」化され、関西を中心に外食産業、流通産業での取扱が増加し、そのことにより南あわじ市の基幹産業の一つである「農林水産業」の、生産・流通・加工という六次化を目指した構造的(南あわじ型「食」産業の構築)な改革を目指すこととしています。
 「食」のブランド化や「食」をテーマに地域の活性化を目指し、その手段として、御食國(みけつくに)淡路島ならではの食材を活用した調理人ドラフト「The Rookie Of The Year」(板前・シェフ・コックなど調理人甲子園)を通じた 「南あわじスタイル食産業」を構築します。 
 これは、イベント開催そのものが目的ではなく、イベントの延長線上に期待される「まちづくり=特産品ブランド(地域内連携による食産業の構築)、観光ブランド(食による交流客の集客)、暮らしブランド(「ここで暮したい」という地域住民の誇り)」と「南あわじスタイル」と呼ばれるであろう新たな「食」産業の構築があくまでも目的です。
 期待される波及効果として、地域に
@ 「食」をテーマとした特産品ブランドの創出
A 「食」を目的に訪ねたい南あわじという観光ブランドの創出
B 住み続けたい。暮らしてみたい南あわじという暮らしブランドの創出
3つのブランドが有機的に結びつき、「南あわじ」ブランドが育成・定着する。
 実施は3ヵ年計画とし、第1期には、ロードマップ作成、ワーキングチーム設立、新たな直売所の業態研究、先進地研修、実証実験(調理人ドラフトの可能性調査など)、第2期には、提案テーマ別地域研究会、スポンサードシップ、シンポジューム開催、先進地研修、イベント実施部隊育成、マッチングイベントのプレイベント開催、新業態(直売所)の実証実験、第3期には、イベント開催組織設立、実施計画書の作成、地域住民の意識調査、地域の「食」事業の開始(直売所など六次化による地域内連携を基盤とした新事業)、恒例化組織設立など、を計画しています。
1.「食」の提案会の背景
 本年度(平成22年度)
は、本事業を成果ある有意義な事業として遂行するため、地域住民(西淡地区を中心に南あわじ市の食関連産業者)の事業への関心の醸成や、事業への参画意識を喚起させる年度と位置づけ、協議会の設立、リーダー研修(ワークショップリーダー会議、先進地研修)、シンポジュームを開催しました。
【キックオフ・ミーティング】
地域住民(まずは食産業関係者)へ理解してもらうために、「Kick Off Meeting」の開催とともに、ワーキングチームを設置し、チーム単位の研究テーマに取り組みました。
【先進地研修】
観光産業従事者(旅館、民宿。ホテル経営者)が「地産地食」をテーマに掲げ、農林水産業者と連携し、「蟹ガラ野菜」を交流客へ提供する仕組みで、観光産業界から注目を集める福井県三国へ「ブランド育成」をテーマに、先進地研修を実施した。
【シンポジューム】
テーマ別にワーキングチームを開催するとともに、「食」に関心のある地域住民を対象に、シンポジュームを開催した。淡路出身の調理人、為後善充先生の「食を生かした地域活性」の講演に続き、「食ビジネス」をテーマにパネルディスカッションを実施した。(2月23日)
「観光地として集客策としての淡路の食」の活用という提案があり、コーディネーターにより「着地型観光の推進における食資源」も本事業のテーマとして、取り入れることとなった。
【調理学校就職担当者・外食産業新人採用担当者アンケート調査と意見交換会】
コーディネーターから各企業・学校へ呼びかけ、意見交換会開催可能な出席者は確保したものの、東北地方・太平洋沖地震により、全国展開事業者(外食・ホテル)については、キャンセルが相次ぎ、意見交換会は中止せざるを得ない結果となった。
「食」の提案と提案者自身及び観光及び「食」に関心のある地域住民による試食会(アンケート調査)と、関係者の意見交換会を実施することとなった。
意見交換会でのテーマは、シンポジュームで新たに提案された、「着地型観光における集客の仕組みづくりとして、欠かせない地域資源として『食』」とした。
2.着地型観光における集客策としての地域資源である「食」の提案(試食アンケート)
  ワーキングチームに参加する「食」関係者や2月23日のシンポジュームで、この事業に関心を持った「食」関係者、農林水産業従事者、加工グループなどにより、南あわじ市を訪れる方に食べて頂きたい「食」を提案し、関係者を中心に試食・アンケート調査を実施した。
(平成23年3月18日(金) 12:30〜13:30 国民宿舎 慶野松原荘)
(食の提案内容)
さくら鯛「鯛そーめん」、3年とらふぐ「てっさ、唐揚げ」、地魚「寿司」、淡路牛「ローストビーフ」、ゴールデェンポーク「中華料理」、淡路島ヌードル「春野菜のパスタ」、郷土料理「さざえの炊込みご飯」、郷土料理「ちょぼ汁」、モーツアルトレタス「レタスのしゃぶしゃぶ」、淡路牛「コロッケ・ミンチカツ」、淡路の鶏「唐揚げ、手羽」、やまもも「やまももアイス」、 米粉「米粉ロールケーキ等」、乳製品「淡路乳」、淡路産野菜、元気玉子「玉子かけごはん、温泉玉子」
3.着地型観光における集客策としての「食」をテーマとした意見交換
  多くの意見が地域の「食」に関係する方や、議会関係者から出され、次年度の事業へ向け、地域住民、議会関係者、そして行政と向かうべきベクトルは、同じ方向に太いものになりつつあることを実感させる意見交換会であった。(3月18日)
4.効果測定
 フードシステム的にみると、川上である農林水産従事者、川中である加工業者、川下にあたる飲食・観光従事者の参加者を新たなワーキングチームに引き込むことにより、本事業における「食」の連鎖がより強固となる確信を得た。
この事業が「地域の活性化」に貢献するという期待の大きさの現れであると確信する。
 特に、地域の「食」関係者の関心は高まりつつあり、新たな「食」関係者の人材発掘とつながったうえ、意識の醸成、関心の喚起など本事業推進の人的環境は、大きく進展した。
 今後は、2年次、3年次の“調理人甲子園”を通じた「南あわじスタイル食産業」構築に向けて進むこととしている。
(2011年4月)
【参考】南あわじ市西淡の名所・名産

松林が美しい景勝・慶野松原

瓦作りの実習と瓦の歴史資料を展示・南あわじ市産業文化センター

西淡のいぶし瓦
※「神戸・兵庫の郷土史Web研究館/地域創生・ツーリズム研究所」のホームページより転載。

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