「漆部の郷」づくり(奈良県宇陀郡曽爾村)

NPO法人ツーリズム研究機構メンバー参加プロジェクト
『 "漆部の郷”づくり〜漆をテーマにした集客交流による地域づくり〜』
奈良県宇陀郡曽爾村(宇陀市商工会曽爾支所)
(経済産業省2008年度「地域資源∞全国展開プロジェクト」採択事業)
 紀伊山地の奥、奈良県宇陀郡曽爾村(うだぐんそにむら)は、清らかな曽爾川の流域に開ける奈良県の東北端で三重県との県境にあります。村の大半を占める山地には、岩肌もあらわな鎧岳、兜岳、屏風岩などの珍しい柱状節理の美景は国の天然記念物に指定されているほか、すすきで一面覆われた曽爾高原など、豊な自然を誇っています。すすきの鑑賞やハイキングで、曽爾高原温泉「お亀の湯」、ファームガーデン、オートキャンプ場、滞在型市民農園クラインガルテン曽爾などで、人口2300人の曽爾村には、年間約50万人もの人が訪れています。
 最近、大和の国の基幹産業であった「漆」の産地、漆業の発祥地と伝わるとして漆部司が置かれていたことのある曽爾村では、今、この地域の歴史復活を目指して漆の調査・植樹が始まっています。
 そして、持続的な集客交流による地域活性化を進める第一歩として、経済産業省の公募型助成を導入して、次のような事業が進められています。
●樹液採取を目的として漆栽培を定着させる。
 実態調査、苗木移植、漆掻き研修、発育調査など
●郷土の漆の歴史を紹介する実験的漆資料コーナーでのマーケティング調査。
 模擬的漆資料コーナーの開設、漆資料館構想の作成、漆部の郷づくりへのニーズ及び顧客満足度・マーケンティング調査、漆体験プログラムの開発、先進地調査、古文書調査、漆産地との連携態勢づくりなど。
●将来の漆産地創生のための漆職人誘致構想。
 曽爾村定住促進策と連携、漆業関連研修施設への情報発信などの漆職人誘致対策作成。曽爾村産漆樹液による特産品開発など。

●地域住民の漆と地域づくりへの関心醸成。
 集客施設での漆部の郷づくりのPR、特産品として学校給食用の漆塗のお箸の導入、事業報告会など。

鎧岳
曽爾高原温泉「お亀の湯」
模擬的漆資料コーナー
 また、「漆」を共通デーマとして、他産地の石川県輪島塗・山中漆器、福井県鯖江、岩手県浄法寺、徳島の西日本うるしを守る会、岐阜県の漆部神社等との交流を促進しています。

 いま曽爾村では、植栽する日本古来の漆を育て、漆資料館の整備、漆職人定住促進対策、村民や来訪客への「漆」をPRに力を入れています。2010年の奈良県挙げて開催される「平城京遷都1300年祭」の一翼を担って、日本古来の漆産業の地で「漆部造」が置かれていた曽爾村を周知させるイベントの計画実行に、地域の活性化をめざして「漆部の郷」づくりを進めています。(2009年3月)

※「神戸・兵庫の郷土史Web研究館/地域創生・ツーリズム研究所」のホームページより転載。

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