酒都西条酒蔵通り西側「暮らしゾーン」まちづくり(地域力活用新事業∞全国展開プロジェクト) 
NPO法人ツーリズム研究機構メンバー参加プロジェクト
『 酒都西条酒蔵通り西側“暮らしゾーン”への都市圏アクティブ・シニア等を対象とした交流創出の研究』
(広島県東広島市)
(2014年度内閣府の地域力活用新事業∞全国展開プロジェクト
事業)

酒蔵通りWEST(西側)の造り酒屋(当初予定拠点施設)
1.研究テーマの設定
(1)地域資源発掘&商品化「暮らしの中にお宝発見“自慢あれこれ発見隊”」
  ・・・・・指導:中嶋邦弘(ツーリズム研究会会長)
(2)宿泊業態研究「農家民宿があるなら商家民宿も」
  ・・・・・指導:坂上英彦(京都嵯峨芸術大学デザイン学科教授)
(3)おもてなし「シニアに好きと言わせたい」・ニューシニアの考察「心をつかむ  おもてなしの工夫」
  ・・・・・指導:島田いずみ(広島文化学園短期大学コミュニティ生活学科准教授)
 ※ コーディネート「暮らすように旅したい」西条酒蔵通り西側暮らしゾーン
  ・・・・・伊勢田博志(集客交流事業プロデューサー)
2.仮説の設定・・・・・「暮らすように旅したい」西条酒蔵通り西側暮らしゾーン〜こんな機能が創出できると、シニアはきっと関心を示す!
 酒蔵通りWEST(西側)を、「どこかに自分の役割を見つけられれば、居心地が良い。居場所ができる」コミュニケーションあふれる通りに。
@都市(広島都市圏)住民との交流
A関西や岡山のシニアが訪ねる通りに「暮らすように旅する」
B新市民(マンションやアパートの住人)との交流を創出

 テーマ毎のワークショップ、先進地調査で検証し、関係者と共有化をはかる。

旧西国街道の酒蔵通りWEST
3.地域資源発掘&商品化「暮らしの中にお宝発見“自慢あれこれ発見隊”」
(1)「観光資源の開発と工夫によるまちおこし」について、講話と参画事業者との意見交換をした。
 シニアが関心を示す「街道・街並み」の残る東広島市高屋町白市地区を調査。「暮らすように旅する酒蔵通りWEST」として、連携すべき地域である。
 講話の内容は、右記のページに掲載。
(2)日本初「地域資源の整理&発信方法:ヒストリーピン」について・・・・・指導:加島智子(近畿大学工学部情報システム工学科准教授)
※ヒストリーピン(History Pin)
 イギリスで始まったサイトで、http://www.historypin.jp/jp/ 地図上に自分の持つ写真を投稿して、ピン止めできるサイト。逆に、写真付きの地図を見ることもできる。
 イメージとしては、グーグルマップ(地図)がサイト上にあって、地図上には、その地域が撮られた写真がピン止めされていて、自由に見ることができる。その写真は、ヒストリーピン利用者が個人で持っている写真を投稿したものである。
 酒蔵通りWESTの壊れつつあるコミュニティやその失われていく大切な風景をヒストリーピンへ投稿し、酒蔵通りWESTの地域資源の記録及びその情報発信に使用する方法を検討、各家庭にある写真を投稿し、将来的には交流客自身が投稿することで、酒蔵通りWESTのコミュニティに参加することになる。
(3) 投稿写真の掘り起こし調査と、地元の方々のヒアリングを実施。また、それらによるヒストリーピンのデモンシュトレーションを展開。
4.宿泊業態研究「農家民宿があるなら商家民宿も」
(1)世界の宿泊事情「こんな施設があれば」のテーマで講話と参画事業者との意見交換をした。
(2) 「農家民宿があるなら商家民宿も」、一般マンション型住宅の活用例から東広島市での宿泊の検討を行った。
 一般住宅の観光利用の課題:@オーナー、管理会社、仲介者の関係整理と、利用者にとって使い勝手を良くし、既存隣接居住者との摩擦に配慮。Aホームページでの情報発信とメールやりとりが必要。B費用について明確化。C生活を支援する飲食、買物などの生活環境を提示し、東広島での魅力ある生活イメージを明確に。
(3)旅館業法(下宿営業)と賃貸業(賃貸借契約)。及び例外的に旅館業法のルールが緩和されるケース

東広島市内の重要伝統的建造物群の白市地区
5.おもてなし「シニアに好きと言わせたい」、ニューシニアの考察:心をつかむおもてなしの工夫
 ニューシニアと呼ばれる世代が望む「人と人とのつながり:関係」をメンバー間で認識し、共有する。洗練された接客を望むものではなく、「挨拶にはじまり挨拶に終わる」と言われるような、日常の中に、交流客にも「居心地の良さ」を提供する。その具体的な手法を研究した。
6.酒造通り西側「暮らしゾーン」の今後の方向性
(1) コーディネータにより、パネルディスカッション的に進行、後半は委員及び参画事業者全員の意見を集約し、今後のベクトルの方向性を検討し、「酒都西条酒蔵通り西側“暮らしゾーン”」への都市圏アクティブシニア等を対象とした交流創出の研究会を終えた。
(2)この地域の強みと弱み、社会的環境要因のプラス面とマイナス面を認識し、活性化交流戦略「暮らすように旅する」を具体的な戦術レベルで落とし込む作業が大切である。しかし、残念ながら拠点となると思われたこの地域の酒蔵施設が利用できない事態を迎えて、駅前と域内河川までの地域に集約して、次の(3)ような仕掛けが望まれる。
(3) こんな仕掛けで活性化
@世界初、地域の人も、観光客も「この通りの好きなみんなで」つくる酒蔵通りWEST“私の思い出”博物館(ヒストリーピンの活用)。
A商店のオーナーならではの「体験教室」商圏は広島市内。
 ・スポーツ店の西国街道ウォーキングと私にぴったりのギアの販売。
 ・写真館のデジタル写真講座「酒蔵のある風景」。
 ・化粧品店の「ここだけのアンチエイジング基礎化粧法」。
B午後3時からの「酒蔵通りはじご酒」と日曜ストリート・カフェ。
C音楽とアートの香も欲しい!
D滞在時間が長くなれば、酒蔵通りWESTでの消費も増える。主は駆戦略「東広島スタイル」。
 ・重要伝統的建造物群保存地区指定申請の検討。
 ・定期借家制度の活用。
 ・「Airbnb」加盟施設制度を検討。
(4)酒蔵通り西側「暮らしゾーン」の交流戦略
  ※コンセプト 「酒蔵のまちで暮らすように旅をする!」
@暮らしのコンテンツ “SAKE TOURISM”日本酒と酒文化を求めて暮らすように旅をする。
  本物の酒を知る(酒を味あう。肴を楽しむ。おもてなしに浸る)。日本酒文化に接する。地域のコミュニティに参加する。
A暮らしの魅力を増幅するしかけ 流客に生活情報を提供=おたずね処
  日本酒が楽しめる店(メニュー価格)。〆の店。地元の「楽しみ方」。
外に向って情報発信
 オピニオンリーダーからSNSで情報発信、パワーブロガー体験支援による口コミ展開
アートの香がする漂う街
 空家を利用した音楽スタジオ、ギャラリー、家具工房など
Bターゲット アクティブシニア
 日本酒好きのアクティブシニア、日本酒文化に接したいグループ、中高年の女子会の旅
 酒蔵通りWESTだから、やはり人を呼び込む「撒き餌」は「日本酒」、日本酒を単にアルコール飲料と考えない。
 2020年には2,000万人と言われる訪日観光客。広島空港、2ヵ所の世界遺産に隣接する東広島市としては、FIT(外国人個人旅行者)も呼び込める可能性がある。
※東広島商工会議所の報告書(平成27年2月)より
※「神戸・兵庫の郷土史Web研究館/地域創生・ツーリズム研究所」のホームページより転載。
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