福崎発・旅の学校「フォークロアン講座」(2008年〜2009年)
●第1回(2008年)
NPO法人ツーリズム研究機構メンバー参加プロジェクト
『 民俗学ともちむぎパスタのまちづくり』
兵庫県神崎郡福崎町(福崎町商工会)
(経済産業省2008年度「地域資源∞全国展開プロジェクト」採択事業)
 福崎町は播磨地域、姫路市の北、鉄道と高速道路の結節点で古くから交通の要衝として榮え、企業団地や大学等が整備されています。また周囲を緑の山で囲まれ、中央部を清流市川が流れて豊かで調和のとれた自然環境を誇り、農業も盛んで、都会と田園との両面を持つ中核田園都市です。
 そして、歴史が香り、文化のロマンが咲く魅力ある多くのツーリズム資源を持っています。
 福崎町の地域資源である「もちむぎ」と「日本の民俗学の父といわれる柳田國男の生誕地」を活用し、京阪神をはじめ広く集客し、「もちむぎ」の消費拡大と地域ツーリズム産業活性化による「福崎町の元気再生」を進めています。
 このプロジェクトは、ぱすた部門とマーケティング部門に分かれて作業が進められました。
 ぱすた部門では、もちむぎぱすたの定義、生ぱすたの試作、講習会、町内飲食関係者への協力依頼、参加店の勧誘募集、各店オリジナルメニューの開発など。
 マーケティング部門では、マーケティングセミナーの開催、民俗学的町内ツーリズム資源の洗い出し、魅力度調査、ボランティアガイド・語り部さんの育成と研修、町内の集客受け入れ態勢の整備など促進・提案などです。
 類似先進対策地の調査研修に加え、実証実験事業として、「もちむぎぱすたスタンプラリー&旅の学校“フォークロアン講座”が4日間8講座開催され、京阪神周辺地域顧客満足度調査、旅の達人としての「フォークロアン」認定、今後への事業提案などが行われました。
 この『福崎発・旅の学校“フォークロアン講座”〜民俗学と旅への誘い〜』には、地域の特色を踏まえて旅に出る人々のニーズに合ったプログラムを揃え、京阪神地区、地元の播磨地域からアクティブ・シニアを中心として集まってきた大勢の受講者たちの大好評を博しました。その講座内容を紹介します。
『福崎発・旅の学校“フォークロアン講座”〜民俗学と旅への誘い〜』のあらまし
 町長さん自ら郷土の文化歴史を紹介され、、また中国でも紹介した伝統舞、地元の語り部さんによる昔話。 播磨など郷土を舞台にする著名な女流作家さん、解りやすく解説された民俗学の先生、郷土の食をテーマに取り上げられている先生方。 柳田國男ゆかりの辻川界隈における観光ボランティアガイドさんたちとの街歩き・フィールドワーク、郷土の小冊子編集者。 最終日は、旅の記録術として「絵」と「写真」と「パソコン」に残す手法を分科方式のワークショップで実践してみせる版画家・カメラマン・郷土史とウェブ関係の私、旅の楽しみ方を伝授するラジオ放送局のパーソナリティさん。
 この「旅の学校」は、2009年1月〜2月の4日間、1日の午前と午後とに各80分の2講座、計8講座でした。
余田大歳神社浄舞
語り部による地域紹介
第1日目
(1)
●ようこそ柳田國男生誕の町・福崎へ
  ・郷土の歴史文化紹介 福崎町長 嶋田正義
  ・余田大歳神社浄舞 余田大歳神社浄舞保存会
  ・語り部による地域紹介 福崎町図書館応援隊民話かたりべサークル
(2)
●時のかなたにつなぐ道〜播磨に生きた人々の足音に耳をすませて〜
   講師 玉岡かおるさん(作家)
第2日目
(3)
●はじめての民俗学〜歩いて見える郷土の魅力〜
   講師 佐々木泰彦さん(関西国際大学非常勤講師)
(4)
●播磨「食の歳時記」〜「ケーキ」から「にくてん」まで〜
   講師 三宅正弘さん(武庫川女子大学准教授)
第3日目
(5)
●フィールドワーク・辻川界隈まち歩き
   辻川界隈観光ボランティアガイドと巡る、柳田國男の生家・民俗資料館・鈴の森神社・有井堂・元辻川郵便局・大庄屋三木家住宅等
(6)
●人物と風景をポケットに入れて〜小冊子「播磨ゆかりの50人」「神戸ゆかりの50人」などの編集現場から〜
   講師 古川 潤さん(郷土振興調査会事務局長)
第4日目
(7)
●私の旅の記録術〜インプットからアウトプットへ〜(ワークショップ)
   ・絵に残そう〜3分で描くスケッチの技〜
      講師 岩田健三郎さん(版画家)
   ・写真に残そう〜初級者でも発見 写真の魅力〜
      講師 石田直之さん(カメラマン)
   ・パソコンに残そう〜旅エッセイでマイブック〜
      講師 中嶋邦弘(私)(当研究所)
(8)
●東西南北ぶらり旅〜小さな旅の楽しみ方〜
   講師 谷 五郎さん(ラジオ関西パ^ソナリティー)
フィールドワーク・辻川界隈まち歩き
パソコンに残そう〜旅エッセイでマイブック〜
  4日間にわたって8講座、全てを受講された熱心なファンも多く、次回も開催を求める声がアンケート回答表を埋めていました。(2009年3月)
 
●第2回(2009年)
NPO法人ツーリズム研究機構メンバー参加プロジェクト
『 柳田國男生誕地福崎発・民俗学を旅のツールとする“旅の学校フォークロアン講座”と“もちむぎぱすた”のまちづくり』
兵庫県神崎郡福崎町(株式会社もちむぎ食品センター)
(内閣府2009年度「地方の元気再生事業」採択事業)
  2009年度は、福崎町の地域資源「もちむぎ」と「日本の民俗学の父といわれる柳田國男の生誕地」を活用し、、『 柳田國男生誕地福崎発・民俗学を旅のツールとする“旅の学校フォークロアン講座”と“もちむぎぱすた”のまちづくり』に次の3分野に取り組みました。
※ 福崎町のまちづくりキャラクターとして、昨年度設定されていた「フクちゃん・サキちゃん」の着包みが完成し、2009年10月の福崎町産業祭でデビュー。今回も、フォークロアン講座など各行事に活躍しました。(左の写真。地元に伝わる民話の主人公“河童”の、左が兄で右が妹。サキちゃんの頭のお皿には、もちむぎぱすた)
(1)タスクフォースによる 「もちむぎ」の商品開発と新たな販売ルートの開拓
  (販路先と連携した商品開発や改良・ブランド化による販売促進と町内業者の活性化など) 
※福崎町内でもちむぎぱすたをメニューとしてサービスしている店のガイドブックも発行されました。(右写真)

(2)「旅の学校フォークロアン講座」の開催と、柳田國男、民俗学を縁とした地域連携の創出
  (福崎発旅の学校のホームページ“福崎旅学 http://www.fukusaki-tabigaku.jp”の開設、同ウェブ上で旅のミニ検定の創設、フォークロアン講座の開催、岩手県遠野市等との地域連携、観光マーケティング戦略など)
(3)観光ボランティアガイド、語り部の会、浄舞保存会など観光組織との連携により、地域の観光課題をビジネスの手法で解決するコミュニティビジネスの創出(気運を高める)。
(道の駅やATA(エリア・ツーリズム・エージェント)を活用したコミュニティビジネス創出のための検討)
※ 福崎町は播磨地域、姫路市の北、鉄道と高速道路の結節点で古くから交通の要衝として榮え、企業団地や大学等が整備されています。また周囲を緑の山で囲まれ、中央部を清流市川が流れて豊かで調和のとれた自然環境を誇り、農業も盛んで、都会と田園との両面を持つ中核田園都市です。
『福崎発・旅の学校“フォークロアン講座”(第2回)』のあらまし
  第2回の講座は、福崎町辻川に伝わる勇壮な「辻川鬼太鼓」で幕を開けました。初日第1講座は、遠野・丹後・福崎に残る民話や物語について3地域の語り部さんの競演。特に、岩手県遠野市からはナンバーワンの語り部正部家ミヤさんをお迎えして、丹後や地元福崎も「福崎民話かたりべ研究会」のみなさんが、情緒あふれる語りを繰り広げられました。引き続き、第2講座はその3地域の行政関係者も加えて戸祭達郎(神戸夙川学院大学教授)の コーディネートにより語り部パネルディスカッション。
 そして、柳田國男の研究家小田富英さんが全国を歩いた柳田國男の「旅行道」について、地図で広がる旅の楽しみ方について鉄道旅行や地図の専門家今尾恵介さんの地形図でたどる鉄道絶景の旅のお話。
 恒例の現地見学として、日本玩具博物館(姫路市香寺町)・生野銀山(朝来市)・地元の古刹應聖寺をめぐる福崎発「大人の遠足」バスツアー。
 第6講座は、200年前に全国を歩いて実測による初の日本地図をつくった伊能忠敬の半生を描いた映画『伊能忠敬・子午線の夢』の上映。
 講座を締めくくった第7講座は、NHK放送番組の『街道てくてく旅』のヒロイン、原田早穂さん(シンクロナイズドスイミングで、アテネ五輪チームで銀メダル、北京五輪デュエットで銅メダル獲得)を迎えて、2009年の春と秋に山陽道を歩かれた大宰府から平城京まで800キロのお話は、てくてく歩き・放送撮影時に現地で出会われた方々も聴きにこられていて、なごやか且つ楽しい講座となりました。
 受講者数は、昨年の倍増で約1,500人。アンケート調査によると、男女半々で、60歳以上の方が80%。地元の福崎町内からが3分の1で、姫路市からが4分の1、ほか神戸市や加古川市などの播磨地域から、但馬・丹波からも聴きにこられました。講座への満足度は、「とてもよかった」が71%、「まあまあよかった」が24%と、この類の講座にしては破格の好評でした。もちろん、今後の参加意欲も、「参加したい」が何と100%でした。 (2010年3月)

フォークロアン認定証
勇壮な「辻川鬼太鼓」
銀・銅メダルを抱える原田早穂さんを囲んで
語り部パネルディスカッション
遠野市の語り部さん
丹後の語り部さん
地元福崎の語り部さん
第1日目

2010.1.9
(土)
(1)
●オープニング   辻川鬼太鼓
●語り部の競演

  ・遠野 正部家ミヤ
  ・丹後 青木順一、吉田正武
  ・福崎 福崎民話かたりべ研究会(畑崎節子、大西厚美、宮本雅子)
(2)
●民話の魅力に触れる<パネルディスカッション>
  ・コーディネータ 戸祭達郎
  ・遠野
 正部家ミヤ、小笠原晋(遠野市文化課長)
  ・丹後 青木順一、東哲(丹後広域観光キャンペーン協議会事務局次長)
  ・福崎 鎌谷泉、嶋田正義(福崎町長)   
第2日目
2010.1.15
(金)
(3)
●柳田國男の「旅行道」
   講師 小田富英(柳田國男全集編集委員)
(4)
●地図で広がる旅の楽しみ方〜地形図でたどる鉄道絶景の旅〜
   講師 今尾恵介(関東学院大学講師)
第3日目
2010.1.23
(土)
(5)

●福崎発「大人の遠足」
   「日本玩具博物館→生野銀山→應聖寺」を巡るバスの旅

第4日目

2010.1.30
(土)
(6)
●映画「伊能忠敬 子午線の夢」
   日本地図を作り上げた伝説の人、伊能忠敬の半生を描く人間ドラマ
(7)
●『街道てくてく旅』800キロの道も一歩から
   講師 原田早穂さん(シンクロナイズドスイミング五輪メダリスト)
「大人の遠足」日本玩具博物館
「大人の遠足」生野銀山
「大人の遠足」 應聖寺
                                  
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